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2015年2月10日 (火)

あちこち

前のブログで、「実はこのような問題はあちこちにある」と書こうと思ったら、以前、竹岡先生が「"here and there"は『あちこち』ではない」と仰っていたのを思いだした。

真面目に勉強していれば、"here and there"の意味は「あちこち」で、日本語の語順のように"there and here"としてはいけない、などと習う。英和辞典にも数ある参考書にも残念ながらそのように書いてある。しかしながら、本来の意味は「あちこち」ではない。各英英辞典では、次のように定義している。

  ●「コウビルド英英辞典」の定義: it happens in several different places

  ●「オックスフォード英英辞典」の定義: in various places

この定義を理解して、「あちこち」のままでいいのでは、と思ったらアウトである。

まず「コウビルド辞典」の定義にある"several"という単語は、漠然と「いくらかの」と覚えていたのでは駄目だし、"some"と似たような意味だと理解していても駄目である。

"some"は基本「割合」に基づく数の表現である。つまり母数によって具体的な数は変動する。例えば10人中の"some"は6人くらい、10億人中の"some"は6億人くらいである。一方、"several"は具体的な数がある程度固定されいる。どの英英辞典にも「3以上で、そう多くはない数」と定義されている。日常で使う場合は、だいたい「5~7」を指すことが多い

次に「オックスフォード英英辞典」の方だが、その定義にある"various"という語が要注意で、「様々な」という意味で理解している人が多い。しかしながら、"various"は日本語の「様々な」のように多種には及ばない。実際は、多くて「10種類」程度のものなので、「幾種かの」くらいの訳がちょうど良い。「様々な」にふさわしいのは、"a variety of~"という別の表現である。

ということで、どちらの英英辞典にも"here and there"を「あちこち」と訳せるほどの数量は定義されていない。「思った以上に少ない」ニュアンスの表現だと分かってもらえたかと思う。最後に例文を引用してみよう。

    The sky is clear and blue, and a few clouds scattered here and there.

    「空は澄み渡る青空だった。いくつかの雲が〇〇〇と浮かんでいた」

もし仮に〇〇〇に「あちこち」と入れるなら、雲が多すぎて「空は澄み渡る青空」ではないはずだ。なので"here and there"の意味は「あちこち」ではない。おそらく適訳は「ちらほら」なのである。

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