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2015年5月27日 (水)

日本語にはない音

学校の授業で見られる光景なのだが、英語を英語らしく発音しようとすると笑いが起きる。クラスでは日本語訛りの生徒が大半だから、「アイ、ドント、アンダースタンド、イングリッシュ、アンド・・・」のように発音することが普通であって、英語らしく発音しようとする姿勢を「カッコ悪い」とか「恥ずかしい」と思う生徒がいる。これを私は個人的に、Peer Pressure English(仲間意識による圧力英語)と呼んでいる。

帰国子女の存在や国際科クラスの人気を背景に、その傾向は少なくなってきたが、まだ学校やクラスによっては、そのような空気がある。教師はそのような状況を黙認せずに、日本語訛りに執着する方がよっぽど「カッコ悪い」ということをきちんと説かなければならない。けれど、悲しいかな、教師の発音がその状況を助長するほど酷いことが往々にしてあり、その場合、説得力はゼロになる。

日本人のできない発音はLとRだけではない。かなり悲惨で、ガストの山盛りポテトくらいに山盛りである。矯正すべきものをアルファベットで挙げてみると、A、B、D、E、F、G、H、I、K、L、N、O、P、G、R、S、T、V、Zになる。

よく聞く話としては、rice(米)と発音しようとして、lice(シラミ)になってしまったり、hood(頭巾、フード)を発音しようとして、food(食物)になってしまったりする。確かに、文脈や常識から「私はシラミを食べる」訳がないので、ネイティブはきちんと「米」と理解してくれる。しかし、それは結果論や言い訳であって、はなから当然のように期待すべきものではない。

RとLの発音には、相当苦労させられた。Rは舌を後ろに引っ込めて、口蓋にあたらないように発音する。昔なら「ジャイアント馬場」のように言えばいいんだよと言えば、誰もがすぐに理解したものだった。当然ながら、今の生徒には通じない。世代差を痛感して虚しくなるだけである。 

やっかいなのはRよりもLの方で、こればかりは舌を動かす訓練がいる。舌を上の歯の裏にあてがって発音するのだが、単独で発音するのも厄介なのに、語の中に組み込まれると舌が攣りそうになる。また、綴りを先回りして思い浮かべてRだったかLだったかを確認してから発音しなければならない。RとLが混在する、reallyやlibraryなどは大変なわけだ。私自身、squirrel(リス)と、Earls(カナダにあるbar)の発音がいまだにできない。

実はLの発音を苦手とする人でも、無意識にできている時がある。舌の位置を確認しながら、ゆっくり「ラリルレロ」と言って、次に、早口で「ラリルレロ」と言ってみてほしい。舌の位置に若干の違いがあることに気づかないだろうか。ゆっくり言う際は舌が後ろに引っ込むが、早口の際は舌が前方に残るはずだ。それこそがLの発音である。ぜひ試してみて欲しい。

他にもいくつか厄介な発音を挙げてみよう。「ア」と「エ」の間の発音をするA。P/H/K/B/T/Dはそれぞれ腹式呼吸による破裂音であり、胸式呼吸の日本語に慣れている日本人は苦労する。また、It is のI の発音は日本語の「イ」とは違い、もっと喉の奥から引きずり出さねばならない。Nもpen「ペン」ではなく、もっと「ペン」という感じになる。gも使い分けが鬱陶しく、例えばsingerとhungerのgの発音は異なり、後者の方が鼻にかかる感じが強い。

ネイティブのように完璧な発音ができるようになる必要はない。世界の英語話者の80%は何かしら訛りがある。私だって日本人訛りがある。だからと言って開き直っていいわけではない。完璧でなくても構わないが、通じる英語が話せないとお話にならない。

私がそれを痛感したのは、留学当初の「マクドナルド事件」だった。「マクドナルドはどこですか?」と尋ねたいのに、肝心の「Mc Donald's マクドナルド」の部分がどうしても理解してもらえない。その日の夜、ホスト・ファミリーに正確な発音を聞いて、何百回とMc donald'sを唱えた。

当時、多少の日本語訛りはしょうがないと思っていたが、私の英語は日本語訛り以前の問題だったわけである。積年、発音を軽視してきたことが「マクドナルド」の一言に集約されて発露したのだろう。そもそも英語とは日本語にはない音であり、日本語で充当できるものではないのだ。あんな経験は二度と御免である。受験ではあまり必要とされない現実はあるが、どうか発音から目を背けないでほしい。

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