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2015年11月28日 (土)

見栄えより心

前回、相手にお願い(依頼)をする際には、"Will you~?"や"Would you~?"の使用は避けるべきで、"Can you~?"や"Could you~?"を使うべきだという話をした。詳しい説明はしなくてもいいかと思ったが、やはり中途半端はよくないので、今回はそれを具体的に説明してみようと思う。

英語における依頼の丁寧度を測る基準は、「いかに相手に"No"と言える余地を残してあげるか」である。たとえば、「命令文」と呼ばれる"Open the door."のような文は疑問文の体をなしていないので、相手にYes, Noの選択を一切与えない。つまりは一方的な依頼となり、ゆえに「命令文」と呼ばれるわけである。

仮に、"Please open the door."のように"please"を付けたところで、表現を多少和らげるにしても、疑問文でない以上("Yes-No"の選択の余地が受け手にない以上)、相手への威圧感を大きく下げることにはならない。

それでは、よく日本人が誤用してしまう"will you~?"はどうなのか?前回のブログで述べたように、実際は学校で習うような「~してくれませんか」という丁寧な依頼ではなく、むしろ軍隊や上下関係のはっきりした運動部で使用する「命令」に近い表現である。少なくとも疑問文の体をなしているので、相手に"Yes""No"の選択権があるのは確かである。

しかしながら、"will"にはそもそも「未来予測(未来はこうなる)」という意味があり、それゆえ依頼したことは相手によって確実に遂行されるという確信めいた響きを持つ。よって相手に"No"とは言いがたいプレッシャーを与えてしまうことになり、決して「丁寧な依頼」にはならない。このことを完全に理解して使用する必要はなくて、根源的な意味ではそういうことなので、とにかく「依頼」としては使わぬようにという話である。これはたとえplease"を付加して"Will you please~?"としても同じである。

もう1つ勘違いして多用されているのが、"Would you~?"である。"would"が"will"の「過去形(弱形)」であり、また「仮定法」であることを考えれば、命令度はかなり弱まって、丁寧な響きを帯びていることに異論はない。しかしながら、"will"の「命令」の性質を完全に拭い去ったわけではないので、「丁寧な依頼」というよりは「丁寧な命令」や「指示」に近い表現となる。たとえば上司から部下への指示のような職務上のやりとりにふさわしく、私的な場面での「依頼」にはあまり適さない

それでは、「~してくれませんか?」という依頼には何を使えばよいのだろうか。様々な依頼表現の中で無難なものを挙げると、"Can you~?"もしくは"Could you~?"がいい。後者のほうがいくらか丁寧度は高い。

なぜ"Can you~?"が丁寧な依頼となるのか。それは"can"のもつ「可能」によるもので、状況によって可能な場合と可能でない場合があることを前提にして尋ねているので、相手は"No"と言いやすい。つまり、相手は依頼されたことを遂行する意志はあるが、状況的に可能でないからと言って断ることができるわけだ。

また、"can"を過去形の"could"に変えて"Could you~?"とすると、これはいわゆる「仮定法」の形になる。その名の通り「ダメなのは承知なのですが、もし可能なようでしたらお願いします」と、相手が依頼を受けてくれることを実現の低い「仮定」として依頼することで、控え目で丁寧度の増した依頼となる。

最後に、これらのことは100%固定されているわけではなく、流動的であることを述べておく。また、以上のことに加えて、やはり言葉の抑揚やアクセントの位置などによっても丁寧度は大きく変わるということも覚えておく必要がある。どんなに素晴らしい作詞作曲の歌も、歌い手がそれをどのように歌いあげるかが大事なのは言うまでもない

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