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2016年2月14日 (日)

鼻をほじる

「鼻をほじる」はpick my noseと言う。カナダの冬は乾燥するので、(人に見られぬように)鼻をほじくる人が多い。赤信号で停車すると、運転手はハンドルから手を離して手持ちぶさたに鼻をほじる。そして、ふと隣や後方の車に目をやると、他の運転手たちもみな鼻をほじっている(という笑い話がある)。

"pick"を"stick"に替えて、stick my noseとすると「首を突っこむ」という熟語になる。日本語の場合は「首」から突っこむので厚かましく響いてしまうのだが、かと言って英語のように「鼻を突っこむ」とするには、日本人の鼻では低すぎるのかもしれない。カナダで、この表現stick my noseと、上述のpick my nose「鼻をほじる」とを混同して使ってしまった苦い思い出がある。友人に、「口を出してくるな」と言おうとして、あろうことか「鼻をほじるな」と言ってしまい、その場にいる大勢の失笑をかってしまった。

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tick my noseの"stick"は「突く」という意味だが、stickには、もう一つ「くっつく」という意味もある。stickyとすれば「ベトベトした」という形容詞だ。昔、"STICK"という商品名の糊(のり)があったのだが(今もあるかもしれない)、「棒」という意味のstickと、「くっつく」という意味のstickをかけた素晴らしいネーミングだと高校生のときに気づいて感動した思い出がある。が、今改めて思えばただの駄じゃれでしかない。

"stick"が、リンゴをつま楊枝で刺したりするような比較的ソフトなイメージなら、"stab"は「グサッと突き刺す」という意味で、勢いも殺意も桁違いの恐ろしい語である。不意に包丁でグサッというイメージだ。back stabberは「後ろから不意にグサッと刺す人」→「陰口をたたく人」という熟語である。これを知って以来、starbucks「スターバックス」が、stab backs「背中を刺す」に見えてしまい、ちょっと恐ろしい。
ちなみに、coffee shopは「コーヒー豆を売る店」と解釈されるので、日本でいう「喫茶店」の意味での使用は避けたほうがよい。通常はcafeと呼ぶか、単に個々の店名を使う。

最近、鼻風邪か花粉症なのか鼻詰まりがひどい。鼻水が止まらないのはrunning noseで、鼻づまりはstuffy noseと言う。ほじくり出せるものならほじくり出したいのだが、鼻の奥のほうが詰まっているので、pick my noseしても何ともならない。かといってstab my noseでは危険すぎる。このstuffy nose「鼻詰まり」
のstuffyも、上述のstickやstabと同じく"st-"で始まっていて、これは語源的には「突く」を表す。つまりstuffyは「何かを突っ込まれた後の状態」→「詰まっている」となる。たとえば、stuffed animalは「詰めものをされた動物」で「ぬいぐるみ」だ。

このように思考を膨らませたり、知識をあれこれと連鎖させていくのは楽しい。辞書やインターネットで調べたり、以前本で得た知識であったり、ネイティブの友人から聞いたものであったり、単体のそれらの知識が時と場所をこえて繋がっていくのは感動すら覚える。生徒にこのような話をして、興味を持ってくれてうなずいたり、メモを取ったりしてくれる生徒がいるのは嬉しいが、ただの知識のひけらかしや自己満足にならないようにくれぐれも注意したい。

現在、時間割を組むことをはじめ、新年度に向けて様々な準備をしている。また、少しずつではあるが、高校生から順に3者面談を行っている。「高校生にもなって、親が勉強にstick one's nose(口出し)する必要はない、よって3者面談など必要なし」と、20代の私はそう思っていた。しかし30台の半ばを過ぎると、最終的に子供の手を最後まで離さず握り続けるのは学校でも塾でもない親なのだから、進捗状況を含め、良いことも悪いことも伝えたほうがよいと思うようになった。

親が隣に座ると、ほとんどの生徒は無口になり気まずそうにする。まるで注射を打たれる前の幼児のような表情だ。「痛くないからね」と明らかな嘘を言うつもりはない。痛みの伴わない注射は(今のところ)ないわけで、さらなる激痛を予防するためには、今の痛みに我慢する必要がある。まだ、刺激がstickであるうちはよいが、stabになったらもはや我慢するどころではない。致命傷でおしまいである。


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