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2017年2月11日 (土)

ねじの回転

「赤本を購入した方がいいですか?」と尋ねてくる生徒や、「赤本を買うのはもったいないです!」と言う生徒がいる。そして学校や予備校から借りたりすることをまるで得したかのように自慢するのである。そうやって買い渋った挙げ句に浪人したり、やたらと滑り止めを受験する羽目になる方がよっぽど愚かだと思うのだが。

ただし、「やる意味はありますか?」と言われると目的に応じて答えは異なる。受験する大学に限って言えば、傾向に慣れるためにやる意味はある。しかし、純粋に英語の教材として考えた場合には「ちょっと待て」となる。高校入試を含め入試英語には、たまに粗悪品が混じっている。世間が思っているほどまともなものばかりではない。

センター試験でさえ、かなり厳重にネイティブチェックが入っているにもかかわらず、数年に一度出題ミスが見つかり新聞などに取りだたされる。いわんや他大学の入試においてをや、なのであるが、チェックする人(できる人)がいないので、汚水は垂れ流されているというのが現状のようだ

話は戻るが、受験することを決めたなら、赤本は新しいものを買うほうがよい。兄や姉が使っていたものが家にあるからとか、尊敬する先輩に譲ってもらったからとかではなく、受験の覚悟と共にきちんと新しいものを買うことである。一方で、十数年前の古い赤本まで入手する強者もいるようだが、別にコレクションしているわけではないのでその必要はない。

よくあるのが、早い段階から赤本を手に入れたにもかかわらず、ほぼやらぬまま本棚のオブジェと化してしまうケースである。また最新の問題を今解くのはもったいないからと、古いものからちまちま解く貧乏性な受験生もいる。「手に入れたのなら、さっさと最新の問題から解かんかい!」と後ろから蹴とばしたくなる(のだがそんなことは絶対しません)。何を悠長に構えているのか、赤本は早くやったもん勝ちである。

すると、「過去問を5年分解きました。次はどうしたらいいですか?」と尋ねてくる生徒がいる。「何周目?」と聞くと「1周目です」と答える。「じゃあ2周目をやりなさい」となる。しばらくして「2周目を終わりました」と持って来る。すると「じゃあ3周目をやりなさい」となる。つまりは、5年間分の過去問を最低5周はしてほしいのだが、学校の宿題じゃあるまいし、1周(適当に)やってやった気になっている場合ではなかろう。本当に受かりたい大学の過去問なら、問題文の一語一句が染み込むくらいまでやり込むことだ。

文法の問題集でも単語集でも、もっと言えば趣味の読書であれ、2周するだけで内容の理解がかなり深まったり、新しい発見があったりする。「2周もやるのは時間の無駄だ」という愚かな意見もあるだろうが、私に言わせれば、むしろ1回だけやって満足するくらいならやらない方がましなのである。繰り返すことで得られるものの大きさを考えれば、1周でやめてしまう方がよっぽど効率が悪く無駄である。効果が出始めるのは2周目以降であり、さらに回数を重ねることでやっと脳に定着していく。

英文の長文読解でも、「読んだけど分からない」と言う生徒は、正確には「1回しか読んでいないから分からない」のである。特に高1などは、単語を逐一日本語に変換するのに精いっぱいで、肝心の話の流れはズタズタに分断され、内容など完全に上の空になっている。もちろん最終的には1回で早く正確に読めるようになる必要はあるが、始めからは無理である。まずは根気よく何度も何度も読むことだ。家で復習しろというのは、なにも社交辞令で言っているのではない。2周目が必要だからである。

英語は言語であり、言語とは「習得」というよりは体育や音楽のように「体得」すべきものである。なので、読解力の向上は量や回数、費やした時間に比例するものであり、日々の努力と研鑽なしには身につくものではない。ヘンリー・ジェームズの「ねじの回転」のように、スターバックスの「シナモン・ロール」のように、何度も何度もぐるぐると回ることである。

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