蛍雪の功
夏もこの時期になると、「蛍の光~♪」と終わりのBGMが流れ始める。高1高2生の夏期講習も終了した。7日間毎日単語のテスト(計700個暗記)を行い、文法、読解、精読など毎回2時間超の授業をした。送り迎えの事情がなければ、たぶん1時間くらい延長していたと思う。読解の手綱を緩めぬまま、日頃できていない文法に取り組むことができたのは良かった。
講習でやった文法事項はもちろん全て定着させてほしいが、それ以上に、いかに到達すべきレベルが高いのか、逆にいかに自分ができないのか、また正解の選択肢の文法的理由を確認して終わるのではなく、むしろ不正解の選択肢を文法的理由から消去していく過程を大事にする、そういう文法問題への取り組み方を示すことができたのではないか。
以上のように答えを導くまでのプロセスに重きを置いたので、一問一問に時間がかかってしまい、結局準備した文法プリントの半分しか終わらなかった。残りは引き続き平常の方で使用していく。そもそも「文法問題」のために使用頻度の低い些末な文法を覚えさせることには抵抗があるのだが、できない者が思いのほか多く、彼らの不安な表情を見ると、もう少し文法を厚く取り組んだ方がよいかもしれないと思った。
3者面談も進み、進捗状況を報告すると共に、保護者の威を借りて本人に反復や復習の大切さを説く。復習して初めて記憶に定着し始めるということ、それをしないくらいなら授業を受ける意味がないことを語った。また、家での学習時間が十分に確保できているかと問えば、保護者からは帰宅すると部活で疲れて寝てしまうという意見や、スマホやテレビに時間を割かれて集中できていないという意見が多く聞かれた。
高3受験生は景気よく頑張っているだろうか。不安やら(期待やらで)週明け彼らに会うのが待ち遠しい。これから8月末にかけて、彼らと面談を行っていきたい。夏休みの進捗状況を確認するためと、もっとギアを上げるように促すためだ。今月末には今後を占う大事な模試が控えている。そこである程度の結果を出すようにとうるさく言ってきたが、果たして自信のほどはどうだろうか。
ただ言えるのは、順調な受験生など世の中に一人もいない。自信がない、不安で仕方がないというのなら、それは勉強することによってしか解決されない。一刻でも早く試験範囲を一通りやりきり、それからはひたすら反復である。どの教科のどの単元も、3周ほど反復すればそれなりに定着はするはずだ。そこまでやり込んで初めて自信らしきものが芽生え始める。不安で眠れないのなら、無理に寝なくてよい。机に向かって眠くなるまで勉強すればいいのである。まだまだ若いのだから、2、3日寝なくても死にはしない。
「蛍の光~窓の雪~♪」と聞くとなんか終わった感が漂うが、この歌の元は「蛍雪の功」である。蛍や雪の光を頼りにしてまで勉学に勤しんだという中国の故事に由来する。そういう意味では終わりの歌(諦めの歌)と言うよりは、受験生を鼓舞する歌である。パチンコ屋などが閉店時に流すせいで、間違った印象を与えてしまっているようだが、由緒正しき応援歌である。なので保護者の方は、「いつまでテレビみてんねん!」 「スマホいじりすぎやろ!」 「はよ2階に上がって勉強せんかい!」などのように思ったら、ぜひこの歌を耳元で囁いてあげてほしい。
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