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2017年11月15日 (水)

浪人生の覚悟

授業の終わり間際、受験生の一人が「次の単語(試験)のことなんですが・・・」と切り出してきた。おそらくは、「他の教科が忙しすぎて、単語試験まで手が回りません。次回は勘弁してもらえませんか?」とでも言ってくるのだろうと思っていたら、その逆で「次回は、No1~No.10までお願いします」とむしろ範囲を増やしてほしいと志願してきた。

普段の課題であれば、No.1とNo.2の150語
であるが、彼の申し出はその5倍の750語である。単語プリントは効率よく覚えられるように精選し、1年で6周できるようにしたのだが、それでもやはり全てを完璧に定着させることはできない。確かに試験を多く重ねてきたことで、忘却曲線の勾配はかなり緩やかになったが、入試まで残された距離を考えれば、そろそろペースアップして一気に叩き込まなければならない。その彼なりの覚悟というか、ここぞの勝負勘のようなものを目の当たりにした気がして鳥肌が立った。

彼は受験生であるのだが、現役生ではない。いわゆる浪人生である。今年新学期がスタートして間もなく、電話がなった。数年前に教えていたのだが、モチベーションの低下と共に塾を辞めていったK君である。
昨年の受験は失敗したものの、もう一度しっかり勉強して再チャレンジをしたい、なので手を貸してくれないか、ということだった。

意気込みは伝わった。だが、やはり懸念は拭えない。前回のようにモチベーションの糸が途中で切れてしまはないだろうか。また、学力的に現役クラスに入って果たしてついていけるのだろうか。しばらく時間をもらって頭を悩ませてみたが、これといった妙案は浮かばなかった。結局、少々きついが、例外的に個人指導することにした。その代わり、少しでも手を抜いたらその時点で断わろうと思っていた。

しばらくして、K君は他の予備校にも通い始め、そこの自習室に強制的にこもる毎日となった。そこは浪人生に特化した塾らしいのだが、朝10時から夜22時まで理由がない限りは自習室で過ごさなければならないという規則がある。まるで、どこぞの軍隊の時代錯誤な精神的拷問のようで、私ならチビってトラウマになるかもしれない。しかしながら、生活習慣や学習環境の根本的な是正、質や方法論よりもまずは絶対的な勉強量の必要性など共感する部分はある。

先日、授業中に彼の1日の過ごし方を尋ねてみたが、単調過ぎてまったく面白くなかった。朝10時から予備校の自習室に入れるらしいのだが、彼は9時に近くのマックで1時間ほど勉強し、それから予備校に入るようにしている。もちろん昼食休憩もあるが、夜22時まで13時間勉強しているそうだ。これが土日祝日関係なく毎日繰り返されるのだから、逆に伸びない方が不思議である。

3月の復帰当初は全て一からであったが、今や現役生の何人かは追い抜いている。前回の授業でも進捗状況を尋ねると、「立教の過去問を通してやってみたら3問しか間違えなかった。MARCHの上位を除いては受かると思います」と言っていた。普段、自ら驕る者にはお灸をすえ、生意気な弁には厳しく釘をさす私だが、その時は
ただ「そうか」とだけ返事をした。

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