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2018年9月 7日 (金)

学校の講習について

リクエストがあったので、時期的に遅いかもしれないが、「学校の夏期講習」についても所感を書くことにした。もちろん私個人の見解であり、世の中には素晴らしい授業をされている学校教師もたくさんいるということを先に述べておく。

そもそも一部の優良な例外を除いて、学校の授業が予備校の授業より優れていることはあまりない(彼らの存在意義には、学校よりも優れた授業を提供するという側面があるのだから)。部活動の多忙さを挙げてブラックと呼ばれる高校はあるが、純粋に本職であるはずの各授業をみても、結構ブラックなものが多いことは意外と知られていない。

それは教師の質や
モチベーションの問題に限った話ではなく、高3であるにもかかわらず受験に必要のない教科を取らされたり、逆に受験に必要な教科であるにもかかわらず全範囲を終わらぬまま入試を迎えねばならなかったり(世界史や日本史に多い)、ネイティブの確保ができずに20~30人というあり得ない規模で英会話の授業をしなければならなかったり(特に地方に多い)、高校名やコース名に「国際」とうたう割には単純に英語に力を入れているだけだったり、あるいはその英語すらあまり上達が見られなかったり、なんなら受験生を惹きつけるためのエサにすぎなかったり、などと運営やシステム上の問題もある。

話を夏期講習に戻すが、予備校のように生徒側の積極的な需要があってそれに応えるかたちで行うのなら分かる。が、頼みもしないものを半ば強制的に参加させられるのはたまったものではない。平常と変わらぬ教師が同じ調子で教えても、それは平常授業の延長でしかないのである。もしその教師の側にそもそも苦手の原因がある場合、その教師がいくら講習を重ねたところで意味などないではないか。教師の側にも「何故にせっかくの夏休みに出勤して授業をせねばならぬのだ?(安い手当てしかつかないのに)」と不満に思う者もいるかもしれない。このような場合、最悪にも「誰も得しない授業」ができあがる。

都立T川高校の生徒が来ているが、彼らは夏期講習の質の低さに嘆いていた。なので、もう行かない旨を教師に伝え、講習で用いている教材の解答をくれるように頼んだのだが、最後まで参加しない者には与えない、と言われたそうだ。確かに一度申し込んだものを「途中で抜ける」というのは褒められた行為ではないかもしれない。しかしながら、予備校のように生徒が講師や授業内容を吟味し選択できるわけでもないのだから、初回後の撤退くらいは許してやればいいだろうに。とにかく、受験生の足を引っ張ることだけはしてはいけない。

また
私立K高校の生徒は、夏期講習の申込用紙が配られたので「参加しません」に○をして提出すると、担任からしつこく説得されて参加せざるをえなくなったそうだ。参加の有無を一応選択できる形をとってはいるが、実際は半強制的に参加を促しているわけである。今流行りのパワハラではないが、学校や担任がこのように強く講習を勧めてくると生徒はなかなか断れないのである。しかも学校によっては講習費を別途要求するので、押し売りのようでなおさらたちが悪い。もちろん、現実逃避的な生徒にはこの種の説得も必要になるだろうが、意識の高い生徒には全くの逆効果である。

さらに別の私立M高校では、夏期講習一日目こそクラスのほぼ全員が参加していたのだが、回が進むにつれて出席者は減り、後半には四分の一になっていたそうだ。当塾の生徒も律儀に最後まで出席したらしいのだが、「なんで最後まで出席し続けたのか?」と訊いてみると、「なんか先生がかわいそうだったから」と返ってきた。生徒に気を遣わせるな、である。

私の恩師であり、駿台の英語講師である竹岡広信先生は八王子東高校に招かれたことがある。竹岡先生は学校の指導法(特に英語)については歯に衣着せずボロクソに言う。なので、もしかしたら事前の職員会議などで一部の教師から反対の声が上がるなどして一悶着あったかもしれない。この高校のようにプライドや意地を捨てて、生徒のために敢えて外部から優秀な講師を招く学校も中にはある。また、下手に講習をやって受験生の足を引っ張るよりは、彼らを信頼して敢えてやらないといった進学校もあるようだ。

もちろん学校側に全ての否があるわけではない。生徒に「夏休みは順調だった?」 「予定通りにいった?」と訊くと、誰一人として「はい!」という返事が返ってこない。毎年夏休み前には「この夏自分は激変する!」 「これまでの遅れを取り戻して余りあるほどすごく成長する!」という甘い期待を抱くらしいのだが、多少の成長は見られはしても、そんなサイヤ人のような劇的な変化は起きないのである。急がばまわれというか、普段から継続して頑張ることがまず重要なのだが、普段頑張れていない生徒ほど「夏休み」に(正確には「夏休みの理想の自分」に)、過大な期待を寄せてしまうようだ。

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