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2018年11月14日 (水)

奥さんの仕事

奥さん(Kimi先生)は慶応大医学部に籍を置き、健康長寿医療センターで研究している。また当塾だけではなく、今年9月から「東京医科歯科大学」でも英語の授業を受け持つことになった。「最近マスコミで騒がれてるから気をつけてね」と奥さんに言うと、「騒がれてるのは東京医科大学だから」と返ってきた。なので「そうそう、だから気をつけてね」と繰り返し言うと、「しつこい!」と怒られてしまった。

どうやら奥さんが働くのは「東京医科大学」ではなく、「東京医科歯科大学」なのだそうだ。私のように勘違いしている人も世間には多かろうと思うのだが、この「歯科」が付くか付かないかでかなり違う、というか全くの別物なのだそうだ。前者は私大であり授業料が死ぬほど高く、後者は国立であり偏差値が死ぬほど高い


奥さんの本職である研究では、「脳の認知機能と指先の機能との関係性」について研究しているらしい。たまに「これを読んでみて」と医学ジャーナルに掲載される自分の英語論文を持ってくるのだが、意味不明なので(かつ面白くないので)、しばらく読んでるフリをして「いいね~」と答えている。けれど、結構な確率でバレては白眼視される。

研究者とは論文を書いてナンボの世界である。しかも、なるべく権威の指標であるインパクト・ファクターの高いジャーナルに論文を掲載したいのだが、その分、敷居というか審査基準は高くなる。そして日本人研究者の中には、せっかく内容の良い論文であっても英語が下手なせいで、その審査に落とされてしまう者が結構いる。なので、英語のできない研究者は高額を支払って専門業者に翻訳やチェックをお願いしなければならない。

ただ、翻訳業者は医学の専門家ではないし、執筆者と同レベルの知識を持っていることはあり得ない。新聞にあるような読者に親切に書かれたにわか医学の話ではなく、かなり専門的で先鋭的な内容となれば、深くは理解できないままのチェックとなる。それで済めばまだ何とかなるのだが、先ほど述べたように研究者の書いた原稿の英語がそもそも酷すぎる場合、完全にお手上げ状態となってしまう。もはや翻訳というよりは暗号の解読である。「内容には口を出さなくていいからね!ただ英語の間違いだけを直してくれればいいんだ!」と言う愚かな研究者もいるのだが、最低限の内容や文脈が分からぬ限り英語のまともなチェックなんか不可能である。

このように、クエスチョンまみれの哀れな翻訳者たちは、イライラしながら原稿と睨めっこすることになる。いっそのこと大きく「✕」して返してやろうかとも思うのだが、もちろん仕事としてお金を貰っている以上、何もせずに突き返すわけにはいかない。結局は踏み込んだ指摘ができないまま、差し障りのない表面的なチェックを入れて終わってしまう。だからそんな論文は審査に落ちるのである。以上は私の経験談である。

実は昨日から1週間、奥さんはアメリカのボストンに出張している。国際学会があってそこで研究を発表せねばならないらしい。その渡航費や滞在費などは全て公費で賄われる。なので、素人目には「無料で海外に行けていいな~」とか「半分遊びみたいな感じじゃないの?」とか言いたくなるのだが、そんなことは口が裂けても奥さんの前で言ってはならない。ボストンに行ったまま帰ってこなくなる可能性がある。



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