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2019年9月10日 (火)

夏の終わり

生徒諸君は夏期講習お疲れさまである。学校の誰も得しない講習や予備校の帯に短しみたいな講習はいやなので、目的を明確にかつ細分化して量(時間)もがっつり行った。「どこが夏休みなんだよ!」「休んでねえよ!」「夏休みの方が平常より忙しいわ!」と夏休みとは名ばかりで勉強漬けという矛盾に文句を言いたくなっただろうが、私も同感である。それでも理性で蓋をして「やらなきゃやばいよな」という思いに駆られたのもまた同感である。夏休みを迎えるにあたって「備えあれば憂いなし」といきたいところだが、まだまだ皆が「備えがないので憂いだらけ」であった。やがて秋になり冬が来る。イソップ物語のキリギリスになってしまわぬよう、早く備えは万全にしておきたい。

よって私の夏は全て夏期講習に捧げた。実は授業時間よりも授業時間外の準備に多くの時間を割くので、授業数が増えた分、通勤時間を含めて朝から晩まで英語漬けになった。そんな中にあって、唯一の夏の楽しみが「甲子園」だった。こう見えて(隠れ)甲子園ファンなので、この夏も端切れのような僅かな時間ではあったが、甲子園中継や熱闘甲子園!(ダイジェスト番組)に夢中になった。涙腺が緩くなったのか、彼らの純粋でひたむきな姿に涙がこぼれそうになることもあったし、縁もゆかりもない都道府県の球児の為に天に祈ったりもした。

確か甲子園の準決勝だったか、星稜高校のバッターが大きなフライを打ち上げた。テレビカメラはボールを追いかけ、やがて捕球する外野選手を映す。何気ない試合の一コマに過ぎないのだが、ふと外野選手の背後のフェンスの文字に目がいった。スポンサーである有名企業に混じって、でかでかと「東進ハイスクール」とあるではないか!思いがけぬ所で商売敵との遭遇である。戦闘モードのスイッチが入ってしまった私は、「教育に携わる企業が甲子園のスポンサーになってどうする!」「甲子園こそが勉強を犠牲にして部活に専念してもいい風潮を生み出した元凶ではないか!」などと、私自身甲子園ファンであることはすっかり棚に上げて悪態をついてしまった。それにしても、もし私に同じ資金力があるなら、当塾名は書かなくていい。ただフェンス一杯に「勉・強・き・ば・ら・ん・か・い!」とぜひ書いてもらいたい。

職業上、試合中のふとした時に球児達の進路が心配になることもある。甲子園という大舞台で活躍した彼らの場合、ドラフトにかかる者は僅かだとしても、大学からの推薦が貰えたりと将来の進路はそれなりに確保できるものなのかもしれない。一方で、甲子園に出ることの叶わなかった世の多くの野球部員たちには「受験」という厳しい現実が待っているわけだが、引退の夏から受験勉強を開始したところで受かる大学などたかが知れている。3年間365日、厳しい練習に明け暮れても夢叶わなかったのに、なぜ受験ならそれが叶うと思うのか。その情熱の半分、いや三分の一でもいいから勉強にも注いでいたらMARCHくらい余裕で受かるのに、と思ったりするわけである。「勉強だけが全てじゃない」が、まったく勉強しなくていいわけじゃない。学生の本分はやはり勉強であり、甲子園を目指すことはその免罪符にはならないのである。

このように批判めいた感想ばかりが出てくるあたり、私は真の甲子園ファンでないのかもしれない。とはいえ、彼らの必死のプレーや試合後の涙を目の当たりにすると「お疲れさん」「よく頑張ったな」というアンビバレントな感情を抱かずにはいられなくなる。それは彼らの夢に向かうひたむきな姿勢と努力は、土俵は違えど私が見てきた歴戦の教え子達のものと同じだからだ。もちろん、逆のことも言える。野球でなく勉強に全情熱を注ぎ、甲子園ではなく東大を目指すのも青春だし、胸を張って誇れることなのだ。だから、ぜひ当塾の受験生たちには、無事志望校に合格することはさることながら、その後の人生で甲子園以上の大舞台で活躍できるよう精一杯勉強してほしいと思う。

 

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