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2020年6月27日 (土)

英語って難しい

問:「ステファンがいつ来るか教えてくれる?」を英語で表現した場合、次の2文のうち、どちらが好ましいか?(大学入試問題改)

A:When's Stephen coming?

B:Please tell me when Stephen will arrive.

まず、問いに間違いがある。人名"Stephen"の読み方は「ステファン」ではなく「スティブン」である。名前の発音を適当にごまかす(軽んじる)生徒が多いが、もう少し名前の読み方には配慮した方がいい。実際のコミュニケーションで名前を間違えることがいかに失礼で、その場の空気を凍り付かせてしまうかは、国を問わずどこでも同じである。私はカナダで"Yasu"と呼ばれていたが、後ろにアクセントを置いて「ヤスゥー!」とまるで"Yahoo!"みたいな発音をされて気分を害したことがある。"Mike"を猫か何かのように「ミケ」と発音したり、"Jane"を別れの挨拶のように「じゃーね」と発音するのは論外として、受験生であっても"Lincoln"を「リンコルン♪」とメルヘンチックに発音する生徒がいたりする。正しくは「リンカーン」。メルヘンとは程遠い髭だらけのおっさんである。また先日も英作文で、"Jill"の代名詞に"He"を使った失礼極まりない生徒がいたが、Jillは女性の名前である。とにかく、人名であっても「まあいいか」とならずに、きちんと辞書で確認することだ。

さて本題に戻るが、おそらく大学側が用意した正解はBであり、世間の英語教師も賢い生徒もおそらくはBを選ぶ。しかしながら、ネイティブスピーカーであればおそらくAを選択する
。なので「ネイティブなのに得点できない」という本末転倒な事態が起きる。英語学習者にはお馴染みのBであり、英語を学べば学ぶほどBを選びたくなるのだが、残念ながら日常で使われる英語よりも、はるかに堅苦しく不自然である。まず「Please+命令文」は丁寧な依頼表現として日本でも広く教えられているが、実際にそこまで丁寧ではなく、むしろ失礼に聞こえてしまうことも多いので避けた方がよい。というのも、たとえ"Please"が付いたところで「命令文」であることに変わりがないからであり、相手側にYes、Noの選択の余地がないからである。なので相手に選択権を委ねる「疑問文」を使うほうがよっぽど好ましい 。

ちなみに、中2で"Will you~?"を「~してくれませんか?」と習うのだが、これも同じく命令的な響きがあるので使用は避けた方が無難である(「~してくれや?」という感じ)。たとえ、"Will you please~?"とpleaseを付けてもダメである(所詮、Pleaseは添えられたパセリ程度の存在であり、サンドイッチの根本的な味を変えるわけではないからだ)。また"Would you~?"という表現も、"would"は"will"の弱い版(過去形)だということを考えれば、同じく避けた方がよい。使用可能な場面もあるにはあるが、"Could you~?"という極めて安全な表現があるのに、なぜに敢えて危険を冒す必要があるのか?ということである。塾生には繰り返し言うことだが、「知らないものは使わない」「知っているものも石橋を叩いて渡れ」という慎重な姿勢が大事である。

次に(少し難しいかもしれないが)論点2として、when節中の"will"も不自然である、と言うと首を傾げる生徒(や教師)がいる。というのも『未来のことを表す場合でも、時や条件の副詞節の中ではwillを用いない』という文法規則を習う(呪文のように刷り込まれる)からである。そうすると生徒だけでなく教師も「それならば、それ以外の場合は全てwillが必要である」という間違った解釈に達する。つまりBの文のwhen節は副詞節ではなく名詞節なので、「じゃあwillが必要だ」と決めつけるわけだ。しかし実際にBの文は、すでにスティブンが来るのが分かっていて、それがいつなのかを知りたい場合に発せられるはずだから、willは使われそうにないのである。よって"will arrive"を"is arriving"などに変えたほうがよいだろう。

ちなみに、上述の『未来のことを表す場合でも、時や条件の副詞節の中ではwillを用いない。代わりに現在形を用いる』という呪文(説明)も不完全である。せっかく覚えるならば『未来のことを表す場合でも、時や条件の副節の中ではwill、wouldを用いない。代わりに現在形か現在完了形を用いる』とすべきだろう。以上、解説を終わるが、このように文法であっても、実際の使用に即してあれこれ考えていくことが必要である。もちろん、そのような理想にはある程度目を瞑って、とにかく詰めこまなければならないという受験事情もある。私も大学受験塾をうたっている以上、背に腹はかえられないので、「これは使わんけど、試験では出るよ」「悪魔に魂を売って覚えよう」などと一言添えて教えている。

生徒側にしてみても、以上のような話を「なるほどな」と聞くためには、それなりの基礎的な英語力を培っていなければならない。高校2、3年生であるにもかかわらず、ここまでの話を聞いてもチンプンカンプンな個所があるならば、どこか基礎力が欠けている可能性がある。文法書でも構わないが、まずは面倒くさがらずに何でも辞書を引くことだ。使用法の違いやニュアンスの違いなどつぶさに説明してくれていて、市販の参考書よりもはるかに正確である。何なら「教師や私の言うことなど信じなくてもいい、辞書だけを信じろ」と言っても過言ではない。また、昔のように堅苦しく無機質なものではなく、血の通った楽しいコラムも挟んであって、学校の授業がつまらない時にはぜひ辞書をパラパラ読むのをお勧めする。ただし私の授業では悲しくなるのでやめてほしい。


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