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2020年9月 7日 (月)

挨拶しましょ

学生の頃、強制的で心こもらぬ「挨拶運動」が嫌いだったが、現在、挨拶できない人間はもっと嫌いである。夕方18時前、生徒が「こんばんは」と言って入ってきた。次の子は「こんにちは」である。さらに次の子は「こんにち…こ、こんばんは」だった。前の2人が異なる挨拶をした為に混乱したのかもしれない。私は動じることなく、三者三様に「はい、こんばんは」「はい、こんにちは」「はい、こんにちばんは」と返した。確かに「こんにちは」から「こんばんは」へといつ切り替えれば良いのか私にも分からない。もしかしたら、季節やら日の入りやらで変動するルールが存在するのかもしれない。寒い冗談を言ってしまった後に「おやすみなさい」「さようなら」とか挨拶されたらすごく嫌だが、とりあえずは挨拶してくれたという事実が大事であって、言葉そのものはどうでもいい。何なら「ちわー」とか「ういーっす」とかでもまあ構わない。

授業の終わりに「お疲れ様でしたー」と私が言うと、「ありがとうございましたー!」と生徒達が返してくれる。別にそういうマニュアルがあるわけでも、そういうお願いをしたわけでもない。多分、私に「お疲れさまでしたー」と不意に投げかけられて、なにかしら返さなければならなくなった。コンビニ店員の挨拶のように無視を決め込みたいが、相手が先生だしそれも気まずい。それなりにおっさん(年上)だから、そのまま同じように「お疲れさまでしたー」と返すのも失礼である。じゃあ少し癪だが、あの万能なマジック・ワードを言っとくか、1、2、3、ハイっ「ありがとうございましたー!」という感じで、それが日々繰り返され、やがて暗黙の了解となり、途中入塾者もそれに追随するようになった。もちろん冗談のつもりなので、これを読んだ生徒は「もう挨拶なんてしてやらない!」と怒らないでほしい。

カナダ人は日本人以上に挨拶にこだわる印象がある。相手が顔見知りならばなおさら、例の「How are you?」のやりとりを含めてかなり長尺になる。もちろん、そんなに気分がすぐれなくても「Fine/Good/OK」などで済ませてしまう。「Not good」(良くないです)とか正直に答えた暁には、相手は「Why?」と尋ねざるをえなくなり、数分間の立ち話へと突入することになる。
さっとすれ違いたいのにすれ違えないので、急いでいる相手にしてみればいい迷惑であり、目的地にたどり着くのはいつのことやらとなる。失敗談を含め挨拶にまつわるエピソードはたくさんあるが、特に思い出深いのは、バスの運転手と交わした挨拶だろうか。毎朝必ず「Good morning!」と言ってバスに乗車し、降りる時も「Thanks!」と言って降りていた。もちろん運転手の方も(グラサンに髭で怖いのだが)挨拶をきちんと返してくれたし、降車時にはいつも「Have a good one!」(今日も良い日を!)と言ってくれた。その魔法の言葉のおかげか、どんなに気分がへこんでいる朝も、バスから降りると気分が軽くなった。

たかが挨拶だが、されど挨拶である。塾の教師が挨拶など生活面に対して口を出すのはどうかとも思うが、どれだけ英語が使いこなせても、挨拶や礼儀作法のままならない人間は国際人になれないと思っている。英語を話す際は少しぐらい横柄になってもいいと勘違いしている人もいるようだが、そんなことはない。大胆になることと横柄になることとは違う。そういう私自身も調子に乗ってしまった一人であり、運転手に「Have a good one!
」(いい日を!)と言われて、壮大に「Have a good life!」(いい人生を!)と言ってみたり、その道のプロなのに「Drive carefully」(運転気を付けてね)と余計なお世話なことを言ってしまったりした。留学生によくある、自分の殻を破ろうとして勘違いし、調子に乗りすぎた瞬間である。運転手は笑ってくれていたが、今思うとすごく恥ずかしい。

授業がいくつも重なった日の22時過ぎはしんどい。若い頃よりも疲労を感じやすくなった気がする。どう頼めば奥さんはマッサージしてくれるだろうか、あれこれ
考えてみるも良案は浮かばない。どの案も結局は奥さんの怒った顔に帰結してしまうのである。そんな疲労困憊で精根尽きかけた私の体に、塾生達のあの「ありがとうございましたー!」がじわじわと染み込んでくる。そして、明日を生きる活力を与えてくれる…というのは言いすぎだが、少なくとも家路につく為の元気くらいは与えてくれる、というのは本当の話である。



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