最後の直線
週末に競馬があるのだろう。隣に座ったおじいさんが、競馬新聞を穴が開くほど真剣に眺めている。新聞に書かれた様々なデータを考慮し、必死にレースの展開を読もうとしている。職業病だろうか、そんなおじいさんが、判定リサーチを眺めて苦悶してる受験生の姿に見えてくる。そのおじいさんのように、判定リサーチをひたすら眺めては、先の展開をあれこれ予想したい気持ちも分からなくはない。が、まずは勉強の手綱を緩めないことであり、自らにひたすら鞭を入れ続けることである。
共通テストの結果は悲喜こもごもだが、これからの頑張り次第で、結果はいかようにも変わる。悲観的にならずにやれば意外と変わるものである。競馬なんて最後の直線で順位は大きく入れ替わるし、ゴールを切るまで結果は全く分からない。ぎりぎりで差し切って勝利するレースは結構多いのであり、そんなレース展開に何度も煮え湯を飲まされた私である。E判定からひっくり返して国立大に受かった強者も現実にいるし、国立前期を含め2月は全滅だったが、粘りに粘って3月の国立後期で蘇った不死鳥みたいな者もいる。ただし繰り返すが、レース展開もくそも、そもそもの学力が足りなければ意味がないのであるから、まずはしっかり勉強することだ。
共通テストの当塾(多摩教室のみ)の平均点は、英語(R)が87,4点(最高98点)で、英語(L)が81,5点(最高92点)だった。全国平均は(R)が60点、(L)が57点らしい。去年までのセンター試験が200点満点なのを思うと、スケールダウンした感じがして面白みに欠けると思うのは私だけだろうか。内容も以前の華やかさはなくなり楽しいものではなくなった。民間試験の併用を前提にしたテストであるから、その利用がなくなった今年はある意味半身不随のような試験であり、正確に英語力を測ることなどできていないのである。それに輪をかけて、コロナ禍を理由に二次試験を実施せず、共通テストの結果だけで合否を出してしまおうという怠慢な大学もあるのだからなおさらバツが悪い。
現在は、個人面談をして受験する大学の最終確認をしている。2月から私大の入試が本格的に始まる。生徒の中には5日連続で受験という子もいる。受験回数(チャンス)を増やしたいという気持ちも分からなくないが、過密日程はなるべく避けたい。日々の入試にただ明け暮れていると肝心の2月後半で学力が落ちてしまう。「受験の合間の時々勉強」ではなく、「勉強の合間の時々受験」が好ましい。2月の間もたっぷり勉強して、少ないチャンスをものにする方が上手くいくと思うのである。とはいえ、本命一点だけに全てを賭けるというのも無理な話であろう(私の競馬歴でも一点買いはない)。だから「数打ちゃ当たる」作戦に出るのも分かるのだが、それは学力が相応のレベルに達していることを前提にとれる作戦であることを肝に銘じておいてほしい。まずは必要科目を1ミリでも成長させることが大前提である。
競走馬と違って、人はゴールが見えるとどうしても気が緩む。何度も同じようなことを言うが、ゴールを駆け抜けるその時まで、勉強の手綱を緩めずに厳しく鞭を打ち続けることだ。それは学校でも塾でも親でもない。自らで自らに振るうのである。さあ、最終コーナーを回り最後の直線。レースは最後の最後まで何が起こるか分からない。
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