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2021年11月16日 (火)

蜘蛛の糸

パソコンのEnterキーが壊れてしまった。押しても感度が鈍く、なかなか入力ができない。せっかくお洒落なカフェで、気分よく仕事をしていたのに最悪である。百歩譲って他のキーが使えなくなるのは構わないが、なんで使用頻度の高いEnterキーなのか。強く押しつけてみたが良くならないので、思い切って引っぱってみたらブチッと取れてしまった。「押してダメなら、引いてみな」と誰かが言ったが、あれは嘘である。仕方がないので、そっとボタンを載せて作業を続けたが、押すたびにその反動でカバーがあちこち跳んでいく。

日常会話で、"enter"という単語はあまり使わない。特に「建物に入る」の意味ではそうである。私だけかと思ったら、意外にも知り合いのネイティブ達もそうだと言っていた。日本人は「入る」="enter"一択であるかのように多用するが、実際は"go into"や"go inside"で済ませてしまう。しかし、パソコンでEnterが使えないと、その"go into"も 使えない(打てない)のである。これまで「普段使わんよ、こんな奴」と散々enter批判をしてきたので、その仕返しなのかもしれない。もう十分ありがたみは分かったので、機嫌を直して元に戻ってくれないだろうか。

ところでenter「入る」と言えば、私も受験生も"enter college"「大学に入る」ことで頭が一杯なのだが、この表現も実際は"get into college"の方が好ましい。そもそも"get"には「手に入れる」「到着する」など様々な意味があるが、いずれにも「苦労する過程」が仄めかされている。例えば"go to sleep"「眠りにつく」より、"get to sleep"「眠りにつく」の方が、寝つけない中、必死に寝ようとする感じが窺える。喫茶店で「コーヒーもらえますか?」と注文する時、"Can I get a coffee?"とは言わずに"Can I have a cofffee?"と言うのは、そこにコーヒーがあるのが当たり前だからである。薬局や文具屋でコーヒーを注文するのなら、説得、口論、殴り合い、警察沙汰などが想定されるので"get"が使えるかもしれない。

そう考えると、やはり「大学に入る」は"enter college"よりも、getを用いて"get into college"と言う方が「苦労の果てにやっと入った」という感じが出てふさわしかろう。当塾の受験生たちもその過程の真っただ中にあり、睡眠時間と魂を削りながら必死に頑張っている。まさにgetにふさわしい活躍ぶりなのだと信じたいのだが、先日やった共通テスト模試が微妙だったのでもっと頑張ってほしい。それなりに英語の読解力はあるはずなので、それを共通テストにカスタマイズしなければならない。英語としてはそこまで難しくはないのだが、情報量の多い文章を早く正確に読むという条件がきついのである。詳しくはまた次のブログで語ろうと思う。

2年前だったか、高2生を敢えてこの時期に受験生クラスに参加させたことがある。いかに実力や熱量に差があるのかを痛感してほしかったというのもあるが、受験生たちの「もっと早くから頑張っておけばよかった」という後悔の弁や「今のうちにしておかないとヤバいことになるぞ」という脅しの声を生で直に聞いてほしかったのである。どんな優秀な子(東大志望)でも、受験までの過程では様々な問題にぶち当たるし、不安や不満、後悔やストレスにまみれることは避けて通れない。「そんなもの何も感じてない」と言う受験生がいたら、それは単純にサボっているのである。とにかく下級生たちにとって、受験生たちの鬼のような形相を拝顔し、耳に媚びりつくような呪詛の声を拝聴する衝撃(価値)はとてつもなく大きい。それはもう、お経を唱えて早く成仏させてあげたいほどである。

どこの学校でも、ほんの一握りの成功者を呼んで「高3の夏に部活を引退してからでも志望校に受かりました」みたいな文武両道アピールや「先生方のおかげで東大に合格しました」みたいなご機嫌とりの体験談を語らせるが、私にしてみれば奇跡体験アンビリーバボーか、通販のわざとらしい感想のようにしか聞こえないのである(学校の先生たちも彼らの存在がむしろ例外的であることは分かっている)。その輝かしい体験談からアドバイスや励ましを得られることもあるが、その弊害として誤った安堵感を抱いてしまう方が問題なのである。私なら受験で何かしら傷を負ったり辛酸を舐めたりしたOB・OGにお願いし、何がダメだったのかの検証を含めて語ってもらう。魂への響き方が違うのである。

とにかく受験生たちは頑張っている。天から蜘蛛の糸を垂らしてあげたいが、私もどちらかと言えば地獄側の人間である。私自身、糸を手繰って登る体力はもはやないので、下から「ガンバレー!」とか「みぎっ、ひだりっ!みぎっ、ひだりっ!」と声をかけることしかできない。大学入試の場合、中学や高校入試と比べて垂らされる蜘蛛の糸は多いので、第2志望、第3志望を含めれば結構な数になる。つまり、ちゃんと実力のある者なら手を滑らせて落ちてしまっても、新たな糸が垂らされて救済される慈悲深いシステムになっているわけだ。それを勘違いしてか「実力が無くても数打ちゃ当たる」と思ってしまう愚か者もいて、当然ながらそんな受験生の糸は容赦なく全てプツリと切られてしまう。それが全員ではないが一定数必ずいることは、毎年下から眺めてきた私が言うのだから間違いはあるまい。


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